もっと自由にフランス語と向き合う
勉強法を探していた私に…

神奈川県 フリーランス 高菜子さん(30代)

あ・こ・が・れっのエッフェル塔です!エッフェル塔は一部中に入れるそうで、その入り口付近に行ってみると、何とそこにはいかにもアメリカ人という旅行者からアジア系の旅行者までさまざまな人種の大行列!中に入るには1時間はかかるとのこと。エッフェル塔って、どんな国の人にとってもやっぱり憧れの存在なんですね。そこで、エッフェル塔のすぐ前にあるいかにもフランスらしい芝の美しい公園から記念の1枚。その公園のベンチに座り、愛犬の散歩をするパリジャンを眺めたりと、かえって普段着のパリを満喫できた素敵なひと時でした。

ヴェルサイユ宮殿の庭園前です。宮殿内の美しさを想像はしていましたが、そこはすべてが重厚な金と赤の輝きに満ちていて、私の頭のいかなる知識をもってしても想像できないほどのすばらしさでした。そしてその宮殿を歩きすすめたその先に、このすばらしい庭園が現れたのでした。完璧に手入れされつくした緑の芸術がどこまでも続き、それはまさに完璧な緑の美でした。

フランス語との出会いと再会

子どもの頃クラシックバレエを習っていた私はパリ・オペラ座のバレリーナたちが大好きで、彼女たちが身につけているのと同じフランス産のレオタードやトゥシューズにふれるたびにフランスへの憧れはつのり、またバレエで使われる「アン・ドゥ・トロワ」や「ジュッテー」というようなフランス語にも、自然とその響きや神秘的な魅力にひかれていきました。大人になりバレエからもフランス語からも遠ざかっていた私に、再びフランス語と出会う機会が訪れたのは社会人になって間もなくのこと。
何気なく応募した「フランス旅行モニター募集」に当選。急遽フランス旅行が決まったのです。そこでフランスについて色々と調べてみると「フランス人、特にパリジャンの中には、英語が分かっても、フランス語しか話してくれないことがある。」という見過ごせない記事や口コミを発見!添乗員もいないほとんどフリー日程の今回の旅行では、何でも自分で動かなくてはならず「最低限のフランス語だけでも学ぼう!」と「旅行のフランス語・入門」という類の本を1冊買い、旅行までの1ヶ月間、必死で勉強しました。

「やっぱり難しい」〜フランス旅行にて〜

【フランス旅行(1)―マクドナルドにて】 こんなに勉強したのは高校生以来!?というくらいフランス語を勉強しました。主語の変化にともなう動詞の活用、数の数え方など。もちろん旅行で使えるお決まりフレーズなども紹介され、とりあえずはその辺を一通り暗記して、いざ本場フランスへ。
やっぱり駄目だと思う瞬間はすぐに訪れました。夕飯はすべて自分で探さなくてはならなかったので、初日の夜はまずは勝手知ったるマクドナルドへ。カウンターでメニューを見ると日本とほぼ一緒。胸をなでおろしながら“Set ○○ s’il vous plaît”と注文すると、けげんそうに片眉をあげたその若い男性店員は“Ah, Menu ○○ s’il vous plaît”といやみの訂正の一言。そう、フランスではこの手のセットや定食系は“Menus”なのだそうです。確かにメニューにはそう書いてありました。でもいざ実際のフランスの中で、生きたフランス語と接するのははじめて。日本でフランス語の発音規則をただ機械的に覚えただけだったので実際の力は決して身についていなかったことを痛感させられました。

【フランス旅行(2)―オペラ座へ行く!】
その後もぼろぼろでした。バレエがきっかけでフランスを好きになった私。憧れのフランスに行くのなら、どうしてもやり遂げたいのが「バレエ鑑賞」。そしてどうせ見るのなら一流のバレエを見たい。そう思った私でしたが12-13年前とはいえ当時は一般にはほとんどパソコンが出回っていなかったので、電話で日本中そこかしこのチケット手配会社をあたり、ようやく1件だけチケットの手配を引き受けてくれる会社がみつかり、本当に運よくバレエチケットを予約することができたのです。その内容とは憧れの「パリ・オペラ座」での「ローラン・プティ・バレエ団」の公演でした。
ですがその日本での予約は、あくまで席をおさえたという確認のできる予約番号をとれただけ。実物のチケットは、そのオペラ座劇場にあるチケット・カウンターで自ら交換手続きをしなくてはならないとのことでした。ここからが大変でした。まず困ったのが劇場の場所にたどり着くこと。夜の公演だったので、行きがてら近くで夕飯を済ませオペラ座に向かったものの途中で道に迷ってしまいました。というのも、パリには劇場の“Opera”といっても、昔からある「オペラ・ガルニエ」と、後からできた「オペラ・バスティーユ」とがあり、公演は「ガルニエ」だったにもかかわらず、私は間違えて「バスティーユ」へと向かっていたのです。
そのことに気がついたのは公演時間も迫ったころ。あたふたしていると運よく若い男性警官がいたので勇気を出して、“Où est l’Opera Garnier?”「オペラ・ガルニエはどこですか?」と聞いてみました!その結果は…、見事、通じたのです!!余談になりますが旅ではどんなことがあるか分からないので、「私は道なんか聞くことないもん」と思っても旅行で必要そうなフレーズは、一通り勉強しておく必要があるのですね。話を戻して、しかしその後がダメでした。
彼は道順を教えてくれたことはくれたのですが、その顔はフランス男性お得意の(!?)片眉あがりで“Ah, Garnier!□◎◎!”と「どうせフランス語で言っても君には分からないだろうけどね。」というかなり意地悪な表情がありありだったんです。だからここで日本女がなめられてはいけない!と“oui、oui、ah~!”とさも分かったかのように相槌をして“Merci!”と言ってその場をかっこよく(?)去りました。 道順はさっぱり分かりませんでしたが、でも彼がガルニエのある方向は逆だということを言っていることだけは分かったので、別の人に“Où est ~?”のフレーズでタクシー乗り場を教えてもらい、何とかタクシーで間に合うことができました。 「松平式フランス語のおぼえ方」ではこういった旅での色々なシーンに使えるフランス語のフレーズも教えてくれています。だから自分がフランスを旅行しているようなイメージで楽しく勉強が進むのだと思います。
その中に「このときの私を見ていたの?」って思うようなこんなアドバイスが・・・「でも“Où est ~?”で聞くことができても、その道順などをフランス人にフランス語で早口でまくし立てられても分かりませんね。紙に書いてもらいましょうか?」といった話があり、この後で“Ecrivez ici s’il vous plaît.”「紙に書いてください」という表現を教えてくれています。あの時にこの本と出会えていたらよかったのにとつくづく思いました。

【フランス旅行(3)―チケットを買う】
あの憧れの「ガルニエ」に着いた私にはまだ試練が残っていました。劇場の正面玄関を入って、余韻に浸る間もなくチケット・カウンターを探しました。正面玄関を入って右手の薄暗い奥の方にようやくそれを見つけました。さてここからです。私が持っているのは、予約番号や公演日と公演場所が書かれた白いA4用紙が1枚だけ。これを見せて状況を説明して、発券手続きを完了させなければならないのです。チケット売り場には60代くらいのいかにもベテランの女性係の方が座っていました。チケット・カウンター行く前に、頭の中で言うべきことをシュミレーションすること5分。ようやく決心して緊張しながらもここなら第2章第2節で出る英語でいう“have”にあたる“avoir”を活用させ“J'ai une reservation. Le billet,S’il vous plaît.”と言いました。すると彼女は“oui”とだけ言うと、すべてを完璧に手配してくれたのです。発音に自信は全くありませんが、本場のフランスで言葉が通じた喜びは忘れられません。
松平式の本ではこんな私たちの悩みにも最初の第1章第1節で「フランス語の発音は本当に難しいか?…意外と通じる日本人の発音」の中で、「フランス語は非常にはっきりとした音をもった言語なのです。そのはっきりした音をはっきりと発音すれば、必ず通じるものなのです。」という感じで教えてくれています。
私は発音には自信はありませんでしたが、そのときも基本の通りにきちんと発音することだけを意識してみたら初心者の私のフランス語でも本場できちんと通じました。発音については、この本でしっかり基礎を学び、家など恥ずかしくないところではいかにもフランス人っぽい感じで少し大げさなくらいに発音練習をすれば必ず通じるフランス語ができるようになると思います。

【フランス旅行(4)―大成功!】
こうして様々なフランス人たちに助けられ、パリ・オペラ座という夢の世界へとたどり着くとこができました。シャガールの天井画、映画に出てきそうな螺旋階段やクローク・カウンターとその係員たち。そしてその劇場内には真っ赤な観客席で、私が今そこに座っているのです。その感動は、まさに夢と現実の狭間としか言いようがありません。 もちろんバレエの舞台はすばらしかったのですが、その合間の休憩時間には、何とシャンパン・ドリンクのサービスが!本当に立っているのがやっとで地に足が付いていないとは、まさにあの時の私のことを言うのだと思います。 「やっぱりフランスって子どもの頃から思い描いた以上の素敵なところだ!」と改めて実感させられました。ですがそれにしても、課題もたくさん出てきました。例えば、フランス語に関してはチケット交換の2言を言うための準備に5分もかかる、予習していない現地で初めて出会うフランス語は読めそうでもきちんと正しく発音できない、レストランの注文では“café(カフェ)”「コーヒー」以外は、“ça(サ)”「これ」でしか表現できない、などフランス語に関しては本当に悔しい結果でした。

やっぱりフランス語って難しい 〜国内

あの悔しい思いは忘れられず、日本に帰った私はフランス語を入門から習うことにしました。週に1回1時間半。主語の変化にともなう動詞の活用、数字の数え方…。これってどこかで聞いた…、そう、あの最初に買った入門書と勉強の内容やその学習の順序までもほとんどが同じでした。
オペラ座でチケット交換するとき、どうしてあんなに言葉がでなかったのか。レストランで使えるフレーズはいくつか覚えたはずなのに、どうして「サ」しか言えなかったのだろう。
それは私の実力不足が一番の原因なのですが、それと同時に私の頭の中では「えっと、ここは主語が“私”だから、ここで使いたいこの動詞も活用して…」というように文法が頭をぐるぐる巡ってしまい、そればかりが気になってどうしても言葉が出なかったのだと気が付きました。 文法は確かに大切だけど、何かもっと自由にフランス語と向き合える勉強法ってないだろうか。このまま文法ばかりをお決まりの形式で勉強しても、なかなかここから抜け出せない。このような悶々とした気持ちを抱えたまま半年が過ぎ文法がさらに複雑になっていく中、無力感だけが強まり、“私のフランス語”は挫折してしまいました。

松平式フランス語との出会い

今の仕事をはじめて数年たったとき、あるときWebサイトで「松平式フランス語のおぼえ方」を見つけました。その内容は、「今までのフランス語教材とは違ったアプローチ方法でフランス語を学べる教材で、過去にフランス語を勉強された経験のある方(初級~中級)対象」というものでした。
あれ以来、フランス語からは完全に離れていたのですが、フランス旅行でのあの悔しい思いがふつふつと湧き上がり「新しいアプローチ方法でなら、私でももう一度フランス語を学べるかもしれない。」そんな熱い気持ちになりました。
また私は大学院で「第二言語習得論」、簡単に言えば、日本人であれば母国語である日本語以外の英語やフランス語といった言語(第二言語)を勉強するときに、どんな難しさがあるのか、どうやったら第二言語がうまくなるのかといったことを研究していたので、「新しいアプローチ法でのフランス語教材」というものにとても興味をひかれました。

この教材、やっぱり何か違うかも〜優しい言葉で教えてくれる〜

期待と不安の中、待ちに待った教材が届きました。早速その内容を読んでみると、まず印象的なのが「~ですよね。」というように口語調で解説がされていること。
一般的な教科書のようにただ機械的に説明されているというような感じではなく、目の前に穏やかな先生の顔が浮かぶような温かい雰囲気がして、まるでその先生と一緒に勉強しているかのような感じがしたのです。だから私の場合、普段は勉強速度など決して速いほうではないのですが、無理なく読み進めることができました。
もちろん単に読み進めることと、文法を覚えたり語学が身に付くこととは大違いなので、これはあくまで前者を指していて、文法など魔法のように完璧に理解したということでは決してないのですが(笑)、でも私にとって取り掛かりやすい教材であったことは確かで、そのことは外国語を勉強するにはとても大事な要素のひとつだと思うのです。

このことだったのか!

この本で初めてフランス語を学ぶ方は、本の中の先生と一緒に素直にじっくり勉強を進めていけば、きちんとフランス語の基礎力がつくことでしょう。それは、この本では文法らしい内容から始まるのではなく“Bonjour(ボンジュール)”や“S’ il vous plaît(シル・ヴー・プレ)”やといった一度はどこかで耳にしたことがあるようなフランス語から教えてくれ、また時おり色々な人たちのフランス旅行話などのコラムが載っているので、フランスへの思いをはせながら勉強することができ、自然とフランス語に親しみ楽しみながら勉強が進むからです。
また私と同じように、一度フランス語をやめてしまった、あきらめてしまった経験をもつ方にとっても、この本を読んでいくと「あれは、こういうことだったのか!」と改めて気づかされることも多いと思います。私の場合ですが、「行く」というフランス語にあたる“aller(アレ)”という語の使われ方。
例えば、フランスで夕飯の支度ができたから食卓に来るように呼ばれたとき、「いま行くよ」という日本語をそのままフランス語にすれば、日本語の「行く」にあたる“aller(アレ)”が活用して、“Je vais(ジュ・ヴェ)”になると思いきや、そこでは日本語でいう「来る」にあたる“venir(ヴニール)”が活用して“Je viens(ジュ・ヴィアン)”が正しいのです。どうしてそうなるのか。
これを昔の勉強法のようにただ丸暗記する!では、いざフランスやフランス人の前で“aller(アレ)”や“venir(ヴニール)”を使ってフランス語を話そうとするとき「あれ?こういう場合はどっちを使うのかな?」なんて、いつまでたってもフランス語が使いこなせないという現象が起こってしまうのだと思います。
丸暗記型の語学学習ではテストで点数は取れても、実生活の中での会話というように決して同じ形のないところで使える語学はなかなか身につかないのです。こんなときこの本ではフランス語と多くの共通点をもつ「英語」を介してそれらをうまく解決してくれました。ここなら英語の“go”と“come”を使って、英語やフランス語を母国語とする人々が、どうやってこの事を考え、見ているのかを解説。
そこからこれらの言葉に対する彼らの見方や考え方が分かり、私たち日本人でも「これは、このことだったのか!」というように納得がいき、この難しい壁を乗り越えるコツを導いてくれました。このような英語との比較は随所に出てきて、そのたびに日本語とフランス語の間にある、時に大きすぎる隔たりをぐーっと縮めてくれたのでした。日本の外国語教育に多い勉強方法で、文法や単語・活用などをただ丸暗記するもの。これってはっきり言って意味がない!それはフランス旅行で撃沈した私のフランス語の勉強法でもすでに立証済み。
やはり大人になってからの外国語の勉強法には「納得すること」がとても重要。そうやってひとつひとつ納得しながら頭の中に積み上げていかないと、大人になった私たちにはどうしても語学は身につかないのです。この本では「こういうことだったのか!」という納得の発見が多く、今までモヤモヤしていたフランス語のあんなこと、こんなことが何かスムーズに頭に入っていくな、というのが私の印象でした。

「大人の日本人が外国語を習得すること」ということ

~大学院での研究~
先ほど、大人になってから外国語を習得しようとするとき、「納得する」ことが大事と言いましたが、大学院で「大人の日本人が外国語を習得する」ということを研究していて感じたことは、習得しようとする外国語があるとき「その言葉を理解する」ということとはどういうことなのか、という課題でした。これは私の修士論文からの一部抜粋になりますが、例えば日本人がよく言う「すみません」という言葉。 英語に訳すとしたらあなたならどうしますか?やはり“I’m sorry.”でしょうか。でももしあなたが知らないうちにハンカチを落としてしまって、それを拾ってくれた相手に言うときの「すみません」は、おそらく英語で言う“Thank you”に近いニュアンスをもつのだと思います。
この微妙なニュアンスを私たち日本人は、話す側も受け取る側も自然と意味をわかり使い分けていて、だからこそ目立ったトラブルなく日本人はよく「すみません」という言葉を使うのだと思います。このように言葉には単にスペルや文法だけを見たのでは分からないその言葉を話す人々が長年培ってきた物の見方や考え方、習慣といった「文化」を反映しているのでしょう。
日本語の「すみません」という言葉でいうなら、物事や気持ちなどあまりはっきり言葉で表現しない「奥ゆかしさ」を良しとするような日本人の文化や習慣が反映していて「ありがとう」であっても「すみません」という言葉を使うのかもしれません。 だからこそ日本人がフランス語を勉強しようとするときには、「フランス語を納得すること」つまりフランス語の表向きの表現には見られないけれど、その背景に隠れている「フランス語を話す人々の物の見方や考え方」といった文化や習慣を理解することが、フランス語を習得するには必要不可欠な要素で、この本ではそんな部分も教えてくれます。
例えばこの本では、先程の“aller”“venir”のときのようにフランス語に共通点を持ちなおかつ日本人にとっても馴染みのある「英語」を介してそれらの言葉を話す人々が「どう考え、どう見ているか、そこからこの表現になるのだ」という言葉の文化=言語文化も示してくれます。だから、大人が外国語を学ぶ際とても大切な「納得」を与えてくれると思います。今まで分かったようで分からなかったフランス語でも、この本とならひとつひとつ納得して勉強を進められるので、「フランス語を習得するぞ!」という意欲が消えないでいられました。

不思議、発音も調子良い

この本では、発音についても納得しながら進めることができました。読み方をただカタカナで示すだけでは、いつまでたっても、ニホンジン・フランス語発音から抜け出すことはできませんが、例えば教材の中の二重母音の説明をふまえて最も知られたフランス語“S’ il vous plaît”をみると、だからフランス人たちは、ああいう「エ」とも「イ」とも聞こえるような「シル・ヴ・プレ(ィ)」みたいな発音になるのね!て何か妙に納得できた自分がいたんです。
もちろん今までだって二重母音について説明されたり解説を読んだことはありますが、この本ではいい感じに「納得癖」つまり「分かる癖」がついているからなのか、私にはとってもしっくりきた発音の解説のひとつでした。(ちなみに最初にも言いましたが、この本を読んでみると誰か優しい先生が講義で話した会話の内容のようですが、あくまでこの本ではこの優しいままの調子が続いてくれるのです。)

私流・この本のお勧め勉強法

この本を勉強してたくさんのことを学びました。そんな中で気が付いた「ここはお勧め!」「ここはこうした方が良いかも!」といった ここだけのぶっちゃけな感想を書いてみようと思います。

(1)意外と通じるフランス語(第1章)
第1章では、最低限の文法だけにとどめフランス語に親しむことに重点を置いてくれているこの本。こういう観点からフランス語を始められると「何か私にもできそう!」と自信をもってのぞめるので、「フランス語の勉強を始めよう!」「もう一度、やってみよう!」という大人たちにはぴったりのスタートをきれると思います。
この章の第3節は“Bonjour!(ボンジュール)”“Au revoir.(オ・ルヴォワール)”“Je m’appelle ○○.(ジュ・マップル・○○)”といった挨拶表現や旅行で使えるフランス語を紹介。そういった身近で具体的な表現を用いながら「“Je”は英語で言う“I”に相当する表現で~」など少しずつ必要な文法を解説してくれます。
ここでも英語との比較がたくさん出てきます。例えば、“Comment allez-vous?(コマン・タレ・ヴ)”「ご機嫌いかがですか?」の答えの表現で使われる“Je vais bien.(ジュ・ヴェ・ビアン)”。この「“bien”は英語の「“well”に相当する表現です。」という解説。英語は得意でなくてもこのように解説してもらえると、例えば「“bien”は日本語の“良い”に相当する表現です。」と日本語で解説されるより、語順や用法の近い英語で解説してもらえる方が、その語の使われ方・用法・意味などとらえやすく、自分でフランス語を実際に使おうとするときにもより役に立つでしょう。
第5節には、“Deux thés au lait, s'il vous plaît.(ドゥ・テ・オ・レ、シル・ヴ・プレ)”「ミルクティーを二つお願いします。」などフランス旅行ですぐに使える例文がたくさん出てきて、そこから発音のこと、文法のことなど徐々に少しずつ覚えていける構造になっているのです。ですからフランス旅行をしているイメージで、恥ずかしがらずにひとりこっそり発音しながら練習していくことで、発音も上達していくし、例文も頭にはいりやすくなると思います。
ただここでちょっと注意点。第1章第2節に「フランス語と英語の違い?」として、フランス語の冠詞や形容詞の活用の紹介などがあります。もちろんここでも、フランス語の先生や達人たちからすれば、さわり程度で文法の見出しくらいの内容なのでしょうが、私を代表とする一度フランス語の文法で立ち止まってしまった(はっきり言うと、ちょっと嫌になってしまった)経験がある方にとっては、「ほら、やっぱり文法から始まるじゃない!」と少し抵抗感を覚えてしまうかもしれません。(先生、ごめんなさい…。) 日本人の多くは、基本的にまじめです。勉強方法においても、小学校の頃から教科書は最初のページから順番通りに1ページずつ進んでいくのが当たり前のことなのです。でも、本当はそうでなくてはいけないという決まりは一切ありません。
文法に抵抗感を抱いてしまうのなら、第1章では、思い切ってこの第2節はさらっと流す程度に読むにとどめて後からじっくり勉強することにして、まずはどんどん先に進んでしまうのもひとつの方法だと思います。
何かと忙しい大人が楽しみながら勉強を続けるには、モチベーションが大切。「勉強だから嫌なところも必ず乗り越えなくてはならない。」、これは確かにそうなのですが、外国語を学習するとき人によってみなそれぞれ得意なこと(文法が得意!会話からはじめるのが好き!など)が違います。ですから時には臨機応変に思い切って先に進んでみてまだ戻ってくる、そんな頭の切り替えも外国語を勉強するときには必要なのかもしれません。そして時にはそういったやり方で、自分でも思いもよらないほど勉強がうまく進むこともあるんです。

○本格的にフランス語(第2章)
本格的にフランス語、といってもこの本だから大丈夫です。英語で言うなら、Be動詞やHaveといったフランス語で意思疎通するのに最低限必要な動詞を中心に、その活用や発音などを勉強できます。正直、フランス語で「動詞の活用」と聞くと、私もちょっとかまえてしまったのですが、この本では、ここでもさまざまな身近な例文を取り入れながら、自然に複数形の概念など勉強できました。

【人称だって大丈夫】
例えば、“Comment allez-vous?(コマン・タレ・ヴ)”「お元気ですか?」という、とっても身近な表現を使って人称について教えてくれています。私の場合、動詞の活用に伴っていつも考えさせられるのが“Je(ジュ)”「私」や“Tu”「君」といった人称(二人称単数、二人称複数など)表現でした。私はこの2つの使い分けを読んで「え?“Tu”ってもっと気軽に「あなた」という意味で考えていたけれど、旅行などではその使い方気をつけなくちゃ!」と実感させられました。

【動詞も大丈夫】
フランス語でもhaveに相当する語“avoir”についても、丁寧に解説してくれています。特に嬉しかったのが「“avoir”は様々な熟語を作り、とても便利ですから、ここで特に重要な表現をご紹介しましょう。」として、すぐに使えるフレーズを紹介してくれているところ。“Avoir faim(アヴォール・ファン)”「おなかがすいている」、“Avoir soif(アヴォール・ソワフ)”「のどが渇く」など何気ないけど、すぐに必要になりそうな表現ですよね。
またこの表現に関連して英語の“there is”にあたる“Il y a(イリア)”の表現などもその場でどんどん教えてくれるので勉強が自然と広がります。活用ばかりで攻められると、ちょっと息がつまりそうになりますが、勉強なんだけどこういったブレイク的な内容が盛り込まれているので無理なく勉強が進みます。

【発音も大丈夫】
自宅で勉強するとき、こういった実用的な表現が出てきたらどんどん積極的に読み上げるということだけで、何と本当に発音練習になっていくようです。というのも自分で言うのも恥ずかしいのですがこの本を読み進めていく際、家でひとり勉強するときには、こういった例文は恥ずかしがらずにいかにもフランス人っぽく発音するようにしていました。
するとある日、ちょうどこの“avoir”の例文をたまたま読んで練習していたとき、フランス語をかじったことのある日本人の友人が聞いていて「あれ?何でそんなにフランス語の発音うまいの?」と言ってくれたのです!その場は「この本楽しいからね。」とだけ言いましたが、内心は「やったー!」って大喜びです。「フランス人っぽい感じが分からないー。」という方は、耳から入る情報は、語学学習ではとても重要なので、フランス映画(もちろん字幕で!)やフランス語の歌など自分が何か好きなものを聴いて、発音の抑揚の雰囲気やニュアンスなどを耳にしてみて参考にすると良いと思います。

○ちょっと本格的なフランス語(第3章、第4章)
第3章では、日本語になっているフランス語をたくさん紹介してくれますから、本当に身近なフランス語に触れることができます。私が特にお勧めだったのは“Restaurant”と“Fondu”のところ。“Restaurant”は、英語でネイティブ系だと「レストランット」という感じの発音になりますが、日本人は「レンストラン」って発音します。これはフランス語の発音と同じなのだそうです!またそのレストランで出てくるチーズ・フォンデュの“Fondu”。これは実はとても難しい“fondre (フォンドル)”「溶かす」という動詞の過去分詞で「溶かされた」という意味からきているそうで、「私でもフランス語使えてる!」と思わず嬉しくなりました。
ここではそのように英語と同じスペルのフランス語なども紹介してくれるので、楽しみながらフランス語がふえていく感じです。また第4章では、過去や未来といった時制について教えてくれます。これはやはりフランス語中級のレベルになりますから、なかなか難しいのが正直な感想です。でもこの本の先生ははじめにそんな私たちへアドバイスを書いてくれています。「初めてこの本でフランス語を勉強し始めたという人は、「そんなものかな」と思って読み飛ばしていただければ」。
どんなに分かりやすく解説してくれても、そこにフランス語の活用や文法があることはかわりませんから最終的にはやはり「覚えること」も必要になってきます。この本でももちろん動詞の活用など文法は紹介されていますし、練習問題などでそれを覚えているか試すところもあります。でも、これは本当に自分の目的や勉強段階に合わせて、覚えること、問題にトライすること(タイミングなど)を自分で決めて良いのだと思います。
学生さんやこれからフランス語で仕事をしようなどと思う方は絶対暗記でしょうが(笑)、旅行やちょっとした趣味が目的でフランス語を勉強しようとする方は、例えば動詞の活用をすべて暗記しなくても、フランス語で言ってみようという問題が今できなくても良いんです。(先生、ここでもごめんなさい!)。
もちろん本気でフランス語を勉強しようとする人だって、まずはこの本をどんどん読み進めていきこの本だから学べるフランス語のちょっとしたポイントや使えるフレーズとたくさん出会いフランス語に親しみ、フランス語の初歩段階ではありますがフランス語(の初歩)の全体像をしっかり見渡すことが大事なんだと思いますそれは例えば、いつも同じ文法や段階でつまずいていたという人であっても、全体像を見渡してから改めてその問題に取り組んでみると次は意外とすんなり理解できたとことが本当にあります。
私の場合、フランス語の目的は旅行や趣味なので、ここだけの話、暗記や難しい問題はどんどん飛ばしてとにかくどんどんこの本を読み進めていきました。それから改めて、動詞の活用や人称のこと、練習問題などに取り組んでみると、どういうわけだか最初に読んでいたときよりもスムーズに勉強することができました。
もちろん暗記できるならそれに越したことはないのですが、無理はしすぎないで自分の目的にあった勉強で楽しみながら進んでいくこともフランス語上達への秘訣だと思います。そして、そのことを先生自身がアドバイスしてくれる本なんて、他にあまりありませんよね。この本と出会ったからこそ、見えてきたフランス語!これからはさらにじっくり時間をかけて、またこの本と向き合いいつか絶対フランスで、フランス語を使いこなしてやる!ってワクワクしています。


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